はじめに
結婚式関係で必ず耳にする「仲人さん」という言葉。
今回はその由来と内容について、紹介したいと思います。
最近では仲人さんを立てることの方が珍しくなってきているようですが、
一般常識としても、「仲人」については、理解しておく必要があります。
両家の間をとり持つ重要な存在
仲人とは、婚約から結婚までを取り仕切り、両家の間をとりもつ役割があり、
「仲人は親も同然」
という格言があるほど、仲人の影響力は大きく、重要な存在でした。
縁談から、結納→挙式→披露宴→式後、まで仲人の出番はたくさんあり、
結婚式後も相談に乗ってくれる存在でもありました。
仲人として、選ばれるのは、結婚する二人に関係の深い夫婦にお願いするわけですが、
職場の上司や学校の恩師などが選ばれる事が多いようです。
いろんな意味でとりもちをしてくれる存在でもあり、相談相手でもある訳ですから、
夫婦関係が円満な事が第一条件となります。
「仲人」をお願いするときは、3か月前までに声をかけるのがマナーです。
今は忘れられている事が多いのですが、本来は、仲人さんの都合を聞いてから
式や結納の日取りを決めるのが正式のようです。
また、式後には、地方差はありますが10〜30万円程のお礼を包みお渡しします。
仲人の由来(歴史)
仲人の歴史は、一般には鎌倉時代に始まる、と言われています。
江戸時代には「肝煎業(きもいりぎょう)」、明治時代には「高砂業(たかさごぎょう)・媒人(ばいにん)」と呼ばれていました。
仲人の歴史的内容については、2説あり
1つは、既婚者(経験者)として神様と人間との仲立ちをする立場(縦軸)
2つは、人と人(両家)の仲立ちをする立場(横軸)
の2つが言われています。いずれか1つかもしれませんし、どちらも正しいのかもしれません。ただ、江戸時代以降は、もっぱら人と人(両家)の仲立ちの意味で使用されています。
仲人を業(なりわい)とする者が生まれたのもこの江戸時代の時期です。身分制度の厳しかった江戸時代は階層により、そのスタイルも様々で、たとえば民間の婚礼は、初めに仲人の斡旋で「見合」が行われる。仲人が双方に異議がなければ、婿側から嫁側の家族へ、結納品が目録を添えて贈られました。この結納は「たのみ」あるいは「言納(いいいれ)」とも言い「結納」の発祥とも言われています。
その後、仲人が組織的に事業として成立するようになるのは、一夫一婦制が確立された明治期のこととになります。
1880年(明治13年)に山口吉兵衛の「養子女婿嫁妻妾縁組中媒取扱所」(大阪)が元祖と言われ、1884年(明治17年)には、東京に「渡辺結婚媒介所」(日本橋)が誕生しています。
この頃は新聞が普及し、自分の略歴、相手の希望条件を新聞に掲載して、結婚相手を新聞で見つけようとする「結婚広告」も出現しました。
(以上『日本婚姻史』中山太郎著、『明治大正史・世相編』柳田邦男編より)
媒酌人とは?(仲人と媒酌人の違い)
媒酌人とは、結婚式の立会人であり、二人の結婚を列席者に報告する役目を持っています。
披露宴で新郎新婦の紹介をしたり式の報告者としての役割をはたします。
媒酌人は、式当日のみの役割です。普通は、仲人が媒酌人の役割を務めます。ですから仲人が大きな枠で、その中の1つの役割として媒酌人の役割があると考えて下さい。
以上、仲人について記しました。冒頭に記した通り、仲人さんを立てるカップルも少なくなったのが現実ですが、その由来を理解すれば、時として仲人さんを立てよう、ということもあるかもしれません。ないにしてもその由来と意味を理解しておくことが、何かのお役にたつものと思います。
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