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縁起の良い正月花のいわれ (File No,1323)
正月花(正月向けに生けられる花)は、
お正月らしく家の中を飾る時に欠かせない
「正月飾り」の一つです。
では、その正月花にはどういう「いわれ」があるのか
代表的なものをまとめてみました。
基本は「松・竹・梅」(または松・竹・菊)
松 松の緑色は常盤色(ときわいろ)であることから常盤木と呼ばれ、また、千年の齢を保つとして吉祥樹として、永遠の命、不老長寿の象徴とされています。また神様が来る為の目印(依り代)の意味もあります。松の語源は明かではありませんが、民俗学の方面では「待つ」や「末」(いきつくところ・究極)に由来するとも考えられています。天から降りる神をじっと「待つ」木が松だとも言われます。 松は「若松」が正月花として一般的で、他にも根引き松や大王松なども使われます。 竹 「竹を割ったような性格」という言葉もありますが、竹は真っ直ぐに成長する姿と、等間隔に秩序良く節目が「節操ある成長」を象徴しています。 また、竹のしなりは、時と場所に応じて、柔軟に対応して成長する姿をも意味していると言われています。さらに、最も成長の速い植物としても有名です。 こういう背景も含めて、特に日本では、剣道の竹刀、土壁の骨組み、伝統細工などにも竹を珍重して扱ってきました。それだけに、縁起が問われる正月には竹の性分にあやかるという意味でも必須のアイテムとして位置づけられています。 梅 梅は、薬用として平安時代に中国から入ってきました。同時に、松竹梅の発想法は日本独自ではなく、中国から渡ってきた考え方です。 松と竹は冬の風雪や厳寒に耐えて、ずっと緑色を保ち、梅は二月くらいに咲きます。桜など、ほかの花に先駆けて非常に早く咲くわけですが、ものごとの最初、いちばんに咲く花が梅であるということです。そして、梅には、「高潔、節操、清純」という意味があります。 つまり、冬の寒さに耐えて緑を保つ松と竹、そして寒い中でも最初に咲く清らかな花ということが、松竹梅ということです。 『歳寒三友』という言い方をしていますが、三つがひとつの象徴として寒さに耐えて新しくスタートするという意味です。 ※並行して「松・竹・菊」も縁起のよい組み合わせとして有名で古来より、この3つも縁起物として珍重されてきました。
南天・千両 (南天と千両はどこで見分けるの?)
南天(なんてん)は「難を転ずる」という意味合いで、不浄を祓うとされる縁起が良い植物です。
千両は冬の寒い時期に赤い実を豊かに付ける貴重な植物で、その価値はお金(千両)に値するという意味で名付けられました。「千両」というおめでたい名前なので、正月花として用いられます。 さて、同じように「赤い実」を付ける南天と千両はどこで見分けるのでしょうか? 南天 小枝より程よい実がなり、房状に形成される。千両と見分けるポイントはスッと伸びた細長い3枚の葉。 千両 かたまりになって実がなり。トータルの実の数は南天よりも少ない。南天と見分けるポイントは、クリスマスで使われる柊(ひいらぎ)のように葉がギザギザになっている。
千 両
その他
葉牡丹
葉牡丹も縁起物として有名で、江戸時代から正月飾りとして使われています。昔は牡丹の入手が困難で、外国から渡来した牡丹に似た植物を「葉牡丹」と命名して、牡丹の代用品として飾ったのが始まりだとされています。
バラ(長春花) 最近ではバラも、優美な見た目から正月花として使われます。特にバラは花の咲いている時期が長いので、長い春の花「長春花」とも呼ばれ、縁起の良い花の1つです。特に洋風に仕立てたい時などには、バラをアレンジすると雰囲気が変わります。
以上、 縁起の良いと言われる正月花を紹介しました。
南天や竹、松を見ると誰でも正月をイメージするものですが、そこにはとっても深い「縁起の世界」があることが
ご理解頂けたでしょうか?理解することで、その福徳も増幅すると言われています。
また、意味を知ると、感謝して、愛(め)でたくもなります。
古来より受け継がれてきた正月花の由来を知り、どうぞ、その心を大切にしてほしいと思います。